Cirkla、Belmark、Ossidが再封可能な成形繊維トレーで協業。トレー、リッド、シール機を一体で組む狙いと、食品包装の脱プラが進むうえでの課題、導入側が確認すべき点を整理します。

ニュースの概要

Cirkla、Belmark、Ossidの3社が、食品向けの再封可能な成形繊維トレー包装で協業すると発表しました。Cirklaが紙パルプなどを成形した繊維トレーを、Belmarkが開封後にもう一度貼り直せるリッドフィルムを、Ossidがトレーに蓋をする自動シール機を受け持ちます。対象は生鮮肉、青果、調理済み食品などです。消費者が中身を使い切るまで何度か開け閉めできる設計にして、保存性と使いやすさを保ちつつ、従来のプラスチックトレーからの置き換えを狙います。素材、フィルム、機械という三つの部品を最初から組み合わせて出す点が、今回の発表の特徴です。

引用元: Cirkla、Belmark、Ossidが再封可能な成形繊維トレーで協業(USA Today)

分析・見解

三社の分業が解く、包装転換の本当の難所

脱プラスチックの包装というと、素材そのものの開発に目が行きがちです。しかし現場で転換を止めてきたのは、素材よりも「組み合わせ」でした。トレーを紙系に替えると、蓋のフィルムが貼り付かない。貼り付いても、ラインの速度が落ちる。そうした不具合が、試作の段階で何度も起きてきました。

今回の協業は、トレー、フィルム、シール機を一つの仕様として束ねます。食品メーカーから見れば、三社に別々に相談して相性を調整する手間が減ります。素材の新しさより、導入までの手間を減らす点にこそ価値があります。

再封機能は、食品ロスを減らす道具になる

再封できる包装は、単なる便利機能ではありません。家庭で使い切れずに傷む食品は多く、肉や惣菜は特に開封後の劣化が早いものです。蓋が元どおり閉じれば、ラップを掛け直す手間が省けます。冷蔵庫の中での乾燥や、においの移りも抑えられます。

ここで見落とせない点があります。成形繊維は、プラスチックに比べて水分や油を通しやすい性質があります。肉汁や惣菜の油が染み出さないよう、内側にごく薄い防水の層を設けるのが一般的です。この層をどう作るかで、リサイクルのしやすさが変わります。再封の機能と、素材の回収しやすさは、実は綱引きの関係にあります。

繊維トレー普及を阻む、コストと回収の二つの壁

一つ目の壁はコストです。プラスチックトレーは長年の大量生産で、一枚あたりの単価が極めて低く抑えられています。繊維トレーは成形に乾燥の工程が要り、設備投資も重くなります。再封フィルムは通常のフィルムより高価なので、一パックあたりの負担は増えます。

二つ目の壁は回収です。紙として出されるのか、食品汚れ付きのごみとして燃やされるのか。国や自治体で扱いは異なります。欧州では包装の再資源化に関する規則が強まり、リサイクルしにくい包装は事業者の負担が増える方向です。米国でも州ごとに拡大生産者責任(=作った側が回収費用も担う仕組み)の法律が広がっています。こうした規制の流れが、繊維トレーへの転換を後押しする圧力になります。

日本の小売にとっての意味と、注目すべき視点

日本のスーパーでは、発泡トレーにラップを掛けた形がまだ主流です。ただ、店舗でのトレー回収や、包装の薄肉化は進んでいます。再封可能な繊維トレーが入ってくれば、売り場の見た目も変わるでしょう。

独自の視点を一つ挙げます。再封機能の本当の相手は、消費者の習慣です。多くの人は、蓋を貼り直すより袋に移し替えます。つまり機能があっても使われなければ、コストだけが残ります。パッケージ上に「ここを押さえて閉じる」と分かる表示を入れられるかが、成否を左右すると考えます。

ビジネスへの影響

食品メーカーと小売が今のうちに確かめること

導入を検討する企業は、まず自社の充填ラインにシール機が合うかを調べる必要があります。今回のように三社の組み合わせが前提になる場合、既存の機械を使い続けられる保証はありません。トレーの寸法、シール時の温度、一分あたりの処理枚数を、試験で確認しておくべきです。

次に確認したいのが賞味期限です。再封できても、中身の日持ちが延びるとは限りません。ガスを充填する包装との組み合わせや、開封後の保存日数の実測が要ります。

小さく始める検証と、価格転嫁の考え方

いきなり全商品を切り替える必要はありません。惣菜や高単価の精肉など、環境配慮に価値を感じてもらいやすい商品から始めるのが現実的です。数店舗で売り、リピート率と返品の声を測ります。

コスト増は、すべてを価格に載せる必要はありません。食品ロスの減少による廃棄コストの低下や、取引先の環境基準への対応で、一部を相殺できます。大手小売の調達基準に、脱プラスチックの項目が入る場面は今後増えるでしょう。

最後に、包装資材の仕入れ先を一社に絞りすぎないことも大切です。新しい素材は供給量が限られ、需要が急に増えると品薄になります。二社目の候補を確保しながら、仕様の確認を進めてください。

関連記事